ムスハフとは?クルアーンの本文、実物の本、手稿の書葉

ムスハフとは?クルアーンの本文、実物の本、手稿の書葉

Muslim Post Editorial Desk@muslimpost

ムスハフが指す実物の経典と、ページ・葉・ビフォリオ・冊の違いを解説。青のクルアーンとバーミンガム断片を例に、素材、年代測定、装丁の記録を読み解きます。

ムスハフ(mushaf)とは、『クルアーン』を書き記した物理的な写本、特に書葉をまとめて冊子にしたものです。クルアーンが聖典の本文とその朗誦を指すのに対し、ムスハフは本文を載せた実物の本に焦点を当てます。印刷本、手写本、残存する書葉、手稿のデジタル画像を比べるときに役立つ区別です。

同じ本文は、大きさ、素材、書体、装飾、ページの組み方が異なる多くの本に収められます。その違いを理解するために、見た目の変化をすべて聖句の言葉の変更と考える必要はありません。

ムスハフとクルアーンは異なる側面を表す

TDVイスラーム百科事典のムスハフ項目は、書き記した葉を集めたものとしてこの本を定義しています。複数形はマサーヒフ(masahif)です。日常会話では実物の本をそのままクルアーンと呼ぶこともできますが、物品として論じるときにはムスハフの方が正確です。

スミソニアンの「クルアーンの芸術」展の概要は、クルアーンを読むこと、朗誦することと結び付け、聖典に口承と物質の両方の歴史があることを示しています。信徒が本文に触れる形は冊子だけではありません。一方、特定の一冊には制作、所有、使用について固有の歴史があります。

たとえば、大きな文字と広い行間の版と、携帯しやすい小型版を比較してみましょう。両方がマサーヒフであっても、ページ番号、改行、大きさが一致するとは限りません。聖句を探すための参照情報と、本の寸法を記すための測定値は別の資料です。

この記事では必要に応じ、ムスハフを物理的な本、クルアーンを本文や聖典という意味で使います。普通の会話でいつも同じ専門的区別を守らねばならないという主張ではありません。目録の記述や読書の指示を理解するための区別です。

ページ、葉、二つ折りの紙葉、冊は別の単位

ページは葉の一面で、一葉には通常二ページあります。二つ折り紙葉、すなわちビフォリオは、一枚の筆記素材を折って二葉、四ページにしたものです。一冊は製本された物理的な単位で、全文、一部の本文、後で集めた資料を含む場合があります。したがって冊数だけでは、クルアーンがどこまで残っているか分かりません。

バーミンガム大学の手稿に関する質問集には明確な例があります。MINGANA Islamic Arabic 1572aは二葉、つまり一組のビフォリオで、合計四ページです。第18・19・20章の一部を含みます。「バーミンガム・クルアーン」と呼ばれるからといって、完全な一冊の聖典だと受け取ってはいけません。

用語数える対象それだけでは分からないこと
ページ一葉の片面一章または全文が揃うか
葉・フォリオ表裏を持つ実物の書葉一冊が完全か
ビフォリオつながった二葉、合計四ページ手稿全体が完全か
冊製本された実物の単位本文すべてがあるか

この区別で、よくある説明の誤りを避けられます。見開きの二面を撮影したからといって、独立した二枚の葉とは限りません。目録の「一葉」を、完全な経典の発見と言い換えることもできません。まず実物の単位を確かめ、それから保存された聖句を特定します。

クルアーンは一冊にも複数冊の組にもなる

一か月で読誦を配分しやすいように設けられる三十の区分をアジュザー(ajza)と呼びます。一ジュズ(juz)は本文の一区分であり、実物の本が必ず三十冊に分かれることを意味しません。一冊に三十区分を示すことも、歴史的な組本で各区分を別冊にすることも可能です。

スミソニアンの「インクと金」の展示ページは、アリー・アル=フサイニーが1310年11月、ヒジュラ暦710年ラジャブ月にモスルで写した、三十部構成のクルアーンの一部を紹介しています。トルコ・イスラーム美術博物館のTIEM 540という記録に結び付く具体的な資料です。当時のすべての経典が同じ構成だった証拠ではありません。

読む範囲を決めるときは、指示が章、番号付きの区分、ある版のページのどれを意味するか確認します。一ジュズを課題にされたのに別の判型のページ番号だけを写すと、場所を取り違えかねません。聖句の参照には、版のページとともに章番号と節番号も残します。

版や読誦伝統によって、印、説明記号、組版は異なる場合があります。その版の凡例を読み、色付きの印をすべて本文に追加された語と考えないようにしましょう。冒頭の言葉と番号については、ビスミッラーと完全なバスマラの解説も参考になります。

青のクルアーンが示す素材と書葉の関係

メトロポリタン美術館の青のクルアーンの書葉2004.88は、藍で染めた羊皮紙に金と銀で書かれています。館は年代を9世紀後半から10世紀半ば、制作地をチュニジア、おそらくカイラワーンとしています。説明し直すときにも、特定の場所には不確実性があることを残します。

目録はこれを豪華な複数冊の手稿として説明し、訓練を受けていない読者が読みづらい特徴を挙げています。行の長さを揃えるための字形調整や、文字を区別する印の不足などです。現代の学習用印本と同じ視覚的補助があるものとして読むことはできません。

鮮やかな色は、この手稿の物質的な設計を示します。ムスハフ一般の外見上の要件ではありません。他の本には異なる載体、書体、装飾があります。デジタル写真では拡大できますが、原物の大きさ、重量、表面の感触を再現することはできません。

字形を比較するには、アラビア書道の書体ガイドが、よく知られる複数の書体名を区別しています。書体の判別は書葉の説明を助けますが、名称だけで正確な年や制作地は証明できません。

バーミンガムの手稿で年代測定されたもの

バーミンガム大学の紹介は、羊皮紙の放射性炭素年代を西暦568~645年、確率95.4%と報告しています。書体はヒジャーズ体とされ、現存する最初期のクルアーン断片の一つと説明されています。幅のある年代を、見かけだけ精密な一つの年に縮めてはいけません。

同大学の研究と保存の説明は、測定が皮の原料となった動物の死亡時期を対象とし、筆写者がインクを置いた瞬間を直接測ったものではないと明記しています。インク自体はこの手順で年代測定されていません。

つまり資料は筆記素材の年代幅を裏付けますが、正確な筆写日、筆写者名、完全な伝来を示すわけではありません。それらには別の証拠が必要です。断片が古いからといって、元の冊子の全内容を保存しているとも言えません。

手稿には、載体、文字、書き手、その後の扱いという複数の側面があります。一部分の年代が分かっても、他の部分まで自動的に決まりません。何を測ったのかと、そこから得た結論を同じ文の中で結び付けるのが正確な説明です。

ノートでは収蔵番号、測定素材、測定結果、筆写情報、装丁を別欄にできます。この例なら568~645年は羊皮紙の年代欄に置き、「筆写完了日」にそのまま入れません。筆写者や特定の製本日の情報がなければ未確定のまま残し、素材の年代で代用しないことが大切です。

装丁、装飾、後世の修理を分けて記す

今見える表紙が、最初からその書葉に付いていたとは限りません。保存のために再製本されたり、葉に分けられたり、他の資料と一緒にされたりすることがあります。たとえばバーミンガムの保存ページは、専門的保存処置でイスラーム様式の保護装丁を加えたことを紹介しています。現代の保護処置が、初期の羊皮紙そのものを現代の物にするわけではありません。

逆に、後世の表紙の外見だけで本文の書葉を年代付けすることもできません。目録は筆写、装飾、装丁を別の時期として記す場合があります。「全体が同じ時に作られた」という根拠のない断言にまとめず、その違いを保ちます。

所有者の書き込みやワクフ寄進の記録は、さらに別の問いに答えます。後の段階を示しても、元の制作者を必ず示すわけではありません。手稿の来歴と伝来のガイドは、奥書、寄進記録、収蔵文書を扱います。ムスハフは物理的な本の種類、伝来は個別の本がたどった経路の説明です。

読む目的に合わせて経典を選ぶ

まず考えるのは、どの表紙が最も華やかかではなく、何をするかです。学習者には読みやすい文字、教師が用いる読誦伝統、説明記号の凡例が必要かもしれません。研究者には完全な目録と書葉の両面画像、翻訳を読む人にはアラビア語本文、訳者の説明、付加注の区別が必要です。

使う本の参照情報を残しましょう。ページ番号だけのノートは別の版の読者に伝わりにくく、章、節、版の情報があれば確かめやすくなります。これは学習上の提案であり、特定の製本法や市販の判型が宗教的に優れるという宣言ではありません。

書葉を研究することと、祈願を学ぶことも別の作業です。朝のドゥアーのガイドは、伝承された言葉、発音補助、意味を分けています。印刷本がアラビア語の横に翻訳、音写、解説を置く場合にも、同じ注意が必要です。

ムスハフは日常の読書に使う本であると同時に、歴史的収蔵品の中では具体的な物質資料です。色、古さの宣伝、組本の冊数で真偽を判断するより、内容、実物の構成、実際に年代測定した部分を説明する方が役立ちます。

出典と手稿の記録